いまや経済効果で、バレンタインデーを超える規模になったハロウィン。なんと、その経済効果は1300億円を超えるといわれています。
街やテレビでも、ハロウィンイベントや仮装して集まる若者たちを見かけることも増えてきました。
でも、少し前までは「ハロウィン」といわれても「何それ?」という程度の知名度しかありませんでした。
いったい、いつから、どんなきっかけがあって日本でハロウィンがここまで流行するようになったのでしょうか。
この記事では、日本でハロウィンが流行ったきっかけと、その理由について解説していきます。
そもそもハロウィンって?
もともと、ハロウィンは古代ケルトの「ドルイド信仰」がもとになっています。簡単にいうと、ケルト人の宗教的儀式・お祭りのようなものです。
アイルランド、スコットランド人がアメリカに移住するようになって、ハロウィン文化もアメリカに持ち込まれるようになり、やがて宗教的色彩が薄くなり、民間行事化していったという経緯があります(ハロウィンの起源や由来については「知って納得!ハロウィンの由来と起源について超わかりやすく解説」を参照してください)。
日本は「アメリカの大衆文化」の一つとしてハロウィンを見ていたのではないでしょうか。
このアメリカの一つの行事が、どのように日本で広がったのでしょうか。いよいよ、詳しく見ていきましょう。
商業的なマーケティング戦略によって、日本でハロウィンが流行した
結論からいうと、バレンタインデーやクリスマスと同じように、ハロウィンも消費を刺激するために生まれた「商業企画」です。
いわゆるマーケティングの一環として、もともとあった「ハロウィン」という外国の文化を、上手く活用したのです。
キデイランド原宿店が仕掛けた日本初のハロウィン・パレード
日本で積極的にハロウィンをイベント化するように広報活動に力を入れたのは、子ども向け玩具を製造・販売していたキデイランドです。
1970年代にハロウィンを題材としたグッズの販売を開始した後、さらにハロウィン文化を広めることで、売上拡大につなげようと、1983年に日本初のハロウィン・パレードを開催しました。
ちなみに、このキデイランドはバレンタインデーの習慣も日本に根付かせようと尽力していたといわれています。
【捕捉】日本で有名なパレードはカワサキ・ハロウィン・パレード
ちなみに現在、日本でいちばん大規模なハロウィンパレードは、1997年からはじまった神奈川県川崎市の「カワサキ・ハロウィン・パレード」です。
2018年は、子どもを中心としたパレード、大人も参加するパレードと日程を分けて開催される予定です。10万人以上、動員されたこともある、一大イベントになっています。
ハロウィンの流行・定着は東京ディズニーランドのイベント
上で紹介した通り、ハロウィン・パレード自体は1980年代からはじまっています。とはいえ、各所でパレードが起こっていたにせよ、全国に広がったわけではありません。
日本でハロウィンの認知度が上がったのは、強い影響力を持つ東京ディズニーランドのハロウィンイベントによるものです。
「カワサキ・ハロウィン・パレード」と同時期の1997年に、東京ディズニーランドは「ディズニー・ハッピー・ハロウィーン」を開始。当初はパレードはなく、シンプルなものだったのが、年を追うごとに規模が大きくなりました。2002年には、ゲストにも仮装を許可するなどイベント性も高まり、2009年には東京ディズニーシーでも正式にハロウィンイベントが開催されるようになったのです。
東京ディズニーランドの大規模なハロウィンイベントの企画、そしてそれを取り上げたメディアが、日本におけるハロウィンの知名度を上げたのは間違いありません。
とはいえ、いくらメディアが大々的に報じたところで、それだけで人々のあいだで流行するわけではありません。
日本にはハロウィンというイベントが受け入れられる態勢がすでにできていたからこそ、ここまで爆発的に広がったのだと考えられます。
最後に、どうしてハロウィンが日本で流行ったのか考察してみたいと思います。
日本でハロウィンが流行した理由
日本でハロウィンが流行した理由は大きく2つあると思われます。
- ハロウィンの特徴である「仮装」の文化が、日本にはすでにあった
- 一過性の「祭り」体質と集団主義がマッチした
それぞれについて解説をしていきます。
日本の仮装・コスプレ文化との親和性
日本でハロウィンといえば、まず「仮装」「コスプレ」で有名です。
ハロウィンの発祥地でも、アメリカでも仮装を行いますが、日本では突出して仮装が目立ちます。
というか、むしろ日本は「仮装・コスプレ」を楽しむためにハロウィンをダシに使っているようなふしがあります(たとえば「トリック・オア・トリート」といってお菓子をねだる習慣はまったく日本では根付いていません)。
もともと、日本には仮装文化が色濃く残っています。この文化は伝統的なもので、江戸時代には、タコや大根の仮装をして踊っている図画も残っているほどです。
近年でも、コミケなどでコスプレ姿がよく見られています。おもにサブカルチャーのキャラクターを模したコスプレが多いことから「コスプレ=オタク」といったイメージもありましたが、商業資本も参入してきたことから、オタクイメージも払拭されつつあります。
このように仮装文化が根付いている日本において、「仮装する祭り」であるハロウィンはうってつけのイベントだったといえるのではないでしょうか。
「祭り」好きな国民性と、SNSなどの拡散
また一時的な集まり、祭りを好む国民性もハロウィンイベントを盛り上げている一因といえるでしょう。
「イベントだから」という言い訳があると、知らない人ともコミュニケーションが取れるという人は少なくありません。普段は知らない人に話しかけられない人も、祝祭の場ではすんなりと会話ができ、盛り上がれるのが日本人の国民性といえるでしょう。
そしてリアルタイムにSNSなどで「イベントを楽しむ知り合い」を見つけると、緩やかな集団主義を発揮して、ゆるいつながりを求めて、ハロウィンへと駆けつけるのではないでしょうか(不特定多数が集まる渋谷へ駆けつけるのは、その典型例だといえるでしょう)。
まとめ
この記事では、いつから日本でハロウィンが流行・定着したのか解説するとともに、なぜ日本においてハロウィンというイベントが受容されたのか考察を加えてきました。
今後、ハロウィンがますます確固とした文化になるのかどうか、行く末を見守りたいと思います。
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