カジノ法案によるパチンコ業界の影響はなし!パチンコ業者が企むカジノ進出

2016年12月に、カジノ法案(IR推進法)が成立したことで「パチンコ業界がダメージを受ける」「カジノ法案の狙いはパチンコ潰しである」という声が聞こえてきます。

しかし、日本にカジノ施設ができることでパチンコ業界が大きな影響を受けるという主張にまともな根拠はありません。その声のほとんどが、自分の願望を反映していうようにも思えます。

実際、カジノ法案が成立したことによる、パチンコ業界へのマイナス影響はありません。

逆に、1995年をピークにパチンコ人口が年々減少していくなか、今後、カジノ付設の統合型リゾート施設の道筋ができたことでパチンコ事業者もリゾート施設開発の主要なプレイヤーになる動向も見え隠れしています。詳しくは後述しますが、日本のパチンコ事業主はすでに海外カジノ施設に積極的に出資を行っており、カジノ運営のノウハウを蓄積しているのです。

カジノ法案の成立は、パチンコ業界にとってダメージどころか、大きなビジネスチャンスになり得るものだといえます。

この記事では、カジノができることによって、パチンコの売上に大きな影響をもたらすことはないこと、そしてパチンコ系事業者のカジノ進出の動きについて解説します。

関連記事:カジノ法案成立の目的は「観光立国」にあり!IR実現までのロードマップ

カジノは、パチンコとの競合相手にはなりえない

巷で言われているような「カジノはパチンコ潰しだ」というのは、単なる陰謀論でしかありません。カジノができることで、パチンコがなくなる、もしくは大きなダメージを受けるというのは考えられません。

「カジノという魅力的なギャンブル施設ができることで、パチンコに行く人間が減る」というのは、一見すると正しいようにも感じられますが、カジノとパチンコが「客を食い合う」事態は想定できないのです

その理由は、主に次の2つです。

  1. カジノの客層と、パチンコの客層は異なる
  2. カジノは、全国各地にあるパチンコの消費者を吸収しきれない

それぞれについて、見ていきたいと思います。

カジノの客層とパチンコの客層は異なる

カジノが、パチンコを楽しむユーザーを取り込むというからには、その客層が大きく重なっている必要があります。しかし、カジノとパチンコでは、それぞれ想定している客層が大きく異なります。

簡単に書けば、

  • カジノが想定する消費者=富裕層向け、外国人などの観光客用
  • パチンコが想定している消費者=庶民向け、店舗の近隣に住む一般住民

となります。

統合型リゾート施設の一部に存在する予定のカジノは、いわばハレの日のための施設であり、地域住民が普段から楽しむパチンコとは大きく異なっています。

カジノは、全国各地にあるパチンコの消費者を吸収しきれない

さらに、カジノがパチンコ客の多くを吸収することはできない、というのも無視しがたい事実としてあります。絶対的にカジノの数が足りないという単純な事実があります。

当面は、全国で2~3カ所のカジノが付設される統合型リゾート施設の設置が検討されるだけですし、仮にそれらが上手くいっても、最大で10カ所程度しか全国にカジノ施設ができることはありません。

また、それはあくまでも民間資本が十分に集まり、開発に着手することができて、はじめて可能になる数字です。現実的には、全国でカジノが10カ所もできる可能性は極めて低いうえに、できたとしてもそれはずっと先の話です。

対するに、パチンコは全国で既に1万1000を超える店舗が存在します。全国にあるパチンコを楽しむ消費者の多くが、全国に数カ所しか存在しないカジノにわざわざ足を伸ばすということは、考えられません。

パチンコが衰退するとすれば、それは主に年々厳しくなっていく規制によるものであり、カジノができるからではありません。

関連記事:パチンコ業界の衰退は止まらない!パチンコ事業者が狙う次の一手とは?

カジノ設立によってパチンコは正面から合法化されるのか

「カジノに客が奪われる」ということが考えられないのは、上で見てきた通りです。

それでは、カジノというギャンブルを認めることで、パチンコもまた法的に正面から認められるようになるのでしょうか。

結論から書くと、パチンコの法的な位置づけも大きく変化することはありません。

現在のパチンコの法的な位置づけ

パチンコが法的に「問題」となるのは、その実態が紛れもなくギャンブルでありながら、刑法ではギャンブル(賭博行為)が禁止されているという事実があるためです。

パチンコを賭博行為だとして起訴された例が存在しないため、判例としてはパチンコは賭博であるとも、ないともいえない状態ではありますが、各種立法においては「パチンコは刑法で禁止されている賭博行為にはあたらない」という解釈で運用されています。

パチンコホール、景品交換所、景品問屋のあいだで、特殊景品を回す三店方式についても、警察庁は「直ちに違法とはいえない」としており、パチンコのギャンブル(性)については、容認・黙認されているのが実状といえます。

それでは、カジノ解禁の動きによって、パチンコの違法化/合法化は進むのでしょうか。

カジノ、ギャンブルの例外的な合法化と、パチンコの合法化は別問題

IR推進法自体はカジノ合法化を意味するわけではなく、これから議論を重ねて提出されるであろう「IR実施法」が可決・成立してはじめてカジノが「統合型リゾート施設の一部として」合法化されることになります。

2018年7月追記:2018年7月20日にIR実施法が参院本会議で可決、成立しましたので、法的にはカジノ設立が可能になりました。

このような議論を受け「パチンコもまた法律で明示的に合法化するべきだ」という声も、一部業者で挙がっています。

しかしいま騒がれている「カジノ解禁」は、ごく限定された施設において例外的にギャンブルが認められる法律にすぎず、そこからパチンコもまた合法化するべきだという論理は成立しません。

これはカジノが部分的に解禁されたからといって、野球賭博や相撲賭博、民間業者の全面的な賭博開示行為を合法化するべきだという話にはならないのと同様です。

IR実施法はあくまでも特別法であり、その論理を一般化・普遍化することはできないのです。

逆に、カジノ解禁によって、パチンコが違法化されることも考えにくいといえます。

これまで、名目上は適法に運営され、その運営が容認されてきたパチンコという業態が、カジノの成立によって、その法的な地位を揺るがせられる根拠は極めて薄いといえるでしょう。

政治的にも、警察とパチンコ業界との癒着関係を考えると、パチンコ業界に改めてメスが入ることはありそうもないことです。

カジノ解禁でチャンスをうかがうパチンコ業界

ここまでで、カジノ解禁によって、パチンコ客が大きく減ることもなければ、法的な取り扱いについても大きく変わることはないことを見てきました。

では、カジノ解禁によって、パチンコ業界は何の変化の起きないのでしょうか?

そんなことはありません。パチンコ事業者のなかには、カジノ解禁をチャンスとみて、リゾート施設への開発に身を乗り出そうとしている企業が数多くあります。

一口に「パチンコ事業主」といっても、大きく分けて「ホール系事業者」と「メーカー系事業者」があります。順に見ていきましょう。

カジノ進出を狙うパチンコホール系事業者

パチンコホール系事業者とは、実際にパチンコ店舗を運営している事業者のことを指します。

実際の店舗を開発し、集客を行い、収益を上げるというビジネスモデルは、カジノの運営に極めて近く、店舗運営のノウハウを蓄積しているホール系事業者は、他企業に比べて優位性を持っていると考えられます。

また、射幸性のあるゲームを日々扱っているという点でも、カジノと類似しており、カジノ運営の主要プレイヤー候補として考えられています。

パチンコホール系のマルハン、ダイナムジャパンホールディングスは、すでに海外のカジノ関連企業への出資を行っていることもあり、統合型リゾート施設への出資を検討しているのはほぼ間違いないでしょう。

カジノ進出を狙うパチンコメーカー系事業者

パチンコメーカー系事業者とは、パチンコ機、パチスロ機などの遊戯機を開発・製造している事業者のことを指します。

カジノでも展開されるであろうスロットマシーンの開発製造で利益獲得を狙うのは間違いのないことでしょうが、興味深いのは、カジノ運営にも興味を持っている企業が多いことです。

セガサミーはいかにも海外向けのスロットマシーンを開発するとともに、すでに韓国でのカジノ施設の開発に携わっています。

また、やはり有力なメーカー系事業者であるユニバーサルエンターテインメントもフィリピンでカジノ開発を行っており、創業者の名前を冠した「オカダマニラ」は既に開業しています。

さらに、コナミは全世界ですでに400以上のゲーミングライセンスを取得しており、カジノ市場と親和性が高い企業だと考えられています。

まとめ

見てきた通り、カジノ解禁によってパチンコという業態が大きなダメージを受けることは現段階では、あまり考えられません。

ただ、厳しくなっていく規制によって、徐々にパチンコの遊戯人口は減っていくことが予想されています。

日本におけるカジノ解禁は、パチンコ事業者にとっては、新たなビジネスチャンスであり、期待できる収益源です。

事と次第によっては、リソースをパチンコからカジノへ大きく振り分ける可能性もあります。今後の動向に注目していかなければなりません。

コメント

  1. 匿名 より:

    パチンコが健全なゲームとして再構築して欲しいと思います。
    パチンコの賭博性で勤労意欲の低下、家庭崩壊、真面目な努力の低下、時間の浪費など人間崩壊に繋がる事が多いと思います。
    合わせて、利益が反国際的な事に使われるのも、異常な利益率の高さ故と思います。

  2. 匿名 より:

    ギャンブル依存症対策の概要に、ぱちんこも含まれています。今後、ぱちんこを遊技から、ギャンブルにもっていくことにより、法人税+30%の課税に持って行くと思うので、ぱちんこ潰しではないですか?

  3. 匿名 より:

    その通り、でも調査の結果某大型店Sは既に対策を行なっており、潰れる事はない。その方面に色々工作を行っておりカジノにも絡みパチンコ客から奪い取った金でカジノにメーカーと組んで進出する事は決まっているらしい?なかなかその辺りを調べると怖いがただ今調査継続中である。保通協関係者いわゆる警察の天下り先とも結託の疑いあり、現場では色々調べてわかってる事があるが裏取りが触るとやばいだから当たればでかい!記事になる。

  4. 匿名 より:

    カジノ認めてパチンコ潰して欲しいと思う。

  5. 匿名 より:

    カジノとパチンコパチスロは競合しないということはあってるけど、カジノ法案がパチンコパチスロ業界に全く影響ないというのは間違いない。

    実際あるし、それも相当なマイナス影響です。

タイトルとURLをコピーしました