人と比べてしまい落ち込んでしまう悪循環を断ち切ろう

自分より恵まれた人、優れた人と自分を比べて、落ち込んでしまう、劣等感を抱いた経験はないでしょうか? 私たちは常に比較することによって、あるものの価値を探ります。比較すること自体は問題ではありません。

ただ、人と自分を比べることによって落ち込んだり、妬み、嫉妬を感じて苦しむのは意味のないこと。ここでは人と比べてしまい、つらい思いをしている方のために、心を軽くするためのちょっとしたコツを紹介します。

落ち込む女性

ポイントは比較対象を他人から自分へと移行させることです。
他人と比べて劣等感を抱く無用な悩みから解放されるヒントを紹介したいと思います。



人と比べるのは人間の習性であることを認識する

人は比較する動物である

人は基本的に比較する動物です。

人は毎日毎日数多くの選択を行って生きています。朝食はパンを食べるのか、お米にするのか。次の休日は映画館に行くのか、ショッピングを楽しむのか。次に自動車を買うときは、どのメーカーから選ぶか……などなど、大小さまざまな選択と決断の連続です。

これらの決断を完全にランダムに行えば、生活は破綻してしまいます。だから、いくつかの候補から比較し、選ぶことで、より合理的な判断をできるように、人の行動と認識の方法は組み込まれているといえるでしょう。

ちなみにマーケティングの世界では、この「選択肢」を与えることで、人に比較するきっかけを与え、ある行動を誘発することがあります。たとえば、世界で初めて家庭用のブレッドベーカリーが販売されたとき、ほとんどまったくといっていいほど売れませんでした。そこでより「劣った」新商品のブレッドベーカリー機を市場に投入したのです(価格は高く、しかも大型の使いにくいもの)。

もちろん新型の粗悪なブレッドベーカリーは売れませんでしたが、それで予想通りのこと。代わりにオリジナルのブレッドベーカリーは飛ぶように売れるようになったのです。これは敢えて「悪い」同種類の商品を投入することで、消費者に選択肢を与え、購入の決断を誘発した、良い例です。

これほど人間は選び、比較しなければ、なかなか決断を下せるようにはならないのです。

比較する対象は、近いもの、類似性があるもの

とはいっても、人は何かを比較するときに、別の何かをランダムに選ぶわけではありません。ダイヤモンドとショベルカーを比べるようなことは、通常ありえません。

基本的に、人が比較するのは、関係性のあるもの、近いもの、類似性のあるものです。

自分の容姿を誰かと比較しようとすれば、パリコレのモデルではなく、身近な友人や同僚が多くなるでしょう。収入についても、日本の平均収入を基準にするのではなく、おそらく同じ会社の人や年齢の近い友人、もしくは親類が中心になるはずです。

ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツの収入と、自分の収入を比べて、大きな差があることに深刻に悩みはしません。ただ同僚が自分より給料を5万円多くもらっていることは、強い比較対象となるため、苦痛を感じる可能性が高くなります。

いまはより人と比べやすい時代になっている

いまは特に人と比べてしまうことが容易になっている時代といえるでしょう。なかなか他人の普段の生活を詳しく知る機会はこれまではあまりありませんでしたが、フェイスブックなどのSNSサービスのおかげで、知人がすてきなランチを楽しんでいたり、楽しそうなイベントに毎週のように出かける様子を窺うことができるようになりました。

そして、それに比べて自分はそんなことができる状態ではないことに、劣等感を抱きやすくなっているといえます。

ただ覚えておきたいのは、特に本名をベースにしたSNSにおいて、マイナスのネガティブな情報はあまり出さない傾向があるということです。不倫がバレて親権を取られそうだとか、借金で首がまわらないといったような情報は、なかなか書きにくいものです。

ポジティブな情報を中心に見て、それがその人の生活のすべてだと捉えるのは間違いですし、それを妬むのは何の意義もありません。



人と比べる相対的な物差しを捨て、自分軸で考える

相対的な評価は自分ではコントロールできない

誰かと比べての評価というものは、自分ではコントロールすることはできません。100メートルを10秒で走る人に、100メートル走で勝つことは、ふつうの人では無理です。しかし、だからといって落ち込むでしょうか?

勝てないのは当たり前です。自分がいまよりも速く走ることはできるようになるかもしれませんが、それでも勝てるようにはなりません。評価や能力の比較において勝てるか負けるかは、自分だけで動かせるものではありません。

自分でコントロールできないものについて、悩むのは端的に時間の無駄です。自分で何とかできるものについて目を向け、それに注力することが重要です。

自分軸を持つことで、自分の行動に焦点を当てられる

ぜひおススメしたいのは、比べる対象を他人から自分へと切り替えることです。

100メートル走の例でいえば、15秒かかっていたのが、いまは14秒前半で走れるようになったという、自分の成長、変化に着目するということです。

比較を他人から自分軸へと移行させることによって、これまでできていなかった○○ができるようになった、いまはできていない△△を3年後の自分はできているようになりたい、と過去から未来へのビジョンを築くことができるようになります。

そして、それらの行動は、自分次第で可能になることです。つまり自分の人生を、自ら設計し、行動し、コントロールするということです。こちらのほうに力を注ぐことが、人と比べる生活より、よほど充実し、結果的に自分を高めることにつながっていきます。

比較する対象を変えてみる

それでも、なかなか評価軸を自分に移せない人もいるかもしれません。どうしても周囲の人との比較が気になるのであれば、比較対象を変えることを意識して行ってみるというのも、一つの方法です。

既に触れたとおり、人は自分に近いもの、類似性のあるものと比較する傾向があります。そして似たような人たちのなかには、まず間違いなく、自分より恵まれていたり、優れていたり、上手く渡り歩く人間がいるはずです。

平均よりもずっと多い、羨むような収入を得ている人も、付き合いのなかには、まず自分より多くを稼いでいる人がいるはずです。そのことに対して嫉妬し苦しむくらいであれば、比較対象をより小さい輪にしていくのです。

基本的に持てば持つほど、人はより欲しいものが増えていきます。その欲望の連鎖をどこかで断ち切る必要があります。

そうすることで初めて、自分が本当に大切にしているもの、価値観が見えてくるのです。

まとめ

人が生きる以上、比較し、選択をするという一連の行動は避けられません。ただ、そのことで大きく苦しむより、有意義で、意味のある比較をすることが大切になってきます。

人と自分を比べるのではなく、過去の自分と現在の自分を比べること、そして将来の「理想的な自分」と現在の自分を比べることによって、自分に焦点をあわせた行動ができるようになります。

本当に自分が大切にしたいものは何かを認識し、それに向けて行動していくことが、よりよい人生をつくりあげることになるのです。

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