アルゴリズム、AI(人工知能)による資産運用として、いま大きな注目を集めている「ロボアドバイザー」。
「聞いたことはあってもいったいどんなサービスなのかわからない」「資産運用として信頼できるものなのか判断できない」と考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ロボアドバイザー利用を検討している方に向け、ロボアドバイザーの簡単な説明を行い、ロボアドバイザーを利用のメリットを紹介するとともに、あまり知られていない注意点にも触れていきます。
ロボアドバイザーは決して万人向けの資産運用方法ではありません。この記事で「自分にとって最適な投資法なのか」判断できるようになっているので、ぜひ参考にしてください。
なお、ロボアドバイザーを含め、金融の新しいテクノロジーを利用した、日常的に使っておきたいアプリについては「絶対使える!フィンテックを活用したおすすめ家計簿+投資アプリ5選を紹介」を参考にしてください。
本文でも解説していますが、ロボアドバイザーのメリットは「手間をかけずに、自分に合った投資を代わりに行ってくれること」。
そのメリットを最大限に活かせるのは提案~運用まで自動的に行ってくれるサービスです。なかでも「ウェルスナビ」は預かり資産・運用者数でNo.1の実績があり、運用成績も高いため、ロボアドバイザーを検討している方は、一度検討することをおすすめします。
ロボアドバイザーとはロボによる「資産運用の提案サービス」
まず簡単にロボアドバイザーとはどんなサービスなのか説明します。一言でいえば「ロボ(コンピュータプログラムやAI)による資産運用の提案サービス」となります。
ロボアドバイザーが生まれた背景
従来は、資産運用を相談する場合、その相手はファイナンシャルプランナーやファンドマネージャーといった専門家に依頼するのが一般的でした。しかし人間相手に依頼すると、どうしても手数料が高くつきます。
もっと手軽に、安い手数料で投資の相談を受けたいという需要を受け、2010年にアメリカのスタートアップ企業が初めてロボアドバイザーというサービスをリリースしました。
PCやスマートフォンを通じて、どのようなポートフォリオを組むのが最適なのか提案してくれるロボアドバイザーは徐々に人気を集め、多くの金融機関もロボアドバイザー開発に投資を行いました。
いまでは個人投資家の有力な資産運用方法の地位を確立しつつあり、日本におけるロボアドバイザーの預かり資産は1兆円を超えるだろうと予測されています。
それでは、具体的にロボアドバイザーの仕組みと利用方法を見ていきましょう。
ロボアドバイザーの仕組みと利用方法
ロボアドバイザーは、いまの世界で考えられるベストの投資方法を提供してくれるわけではありません。
そもそも「完璧な資産運用」というものは存在しません。また、人によってどれだけリスクを許容できるのか異なるので「自分に最適な資産運用」は人それぞれです。
ロボアドバイザーにできることは利用者にいくつかの質問をすることで、利用者に合った投資プランをアルゴリズムによって提案することです。
ロボアドバイザーを提供している会社によって質問内容は若干異なりますが、典型的には次のようなことを質問されます。
- 年齢
- 年収
- 金融資産額
- 毎月の積立額
- リスク許容度
これらの回答によって、アルゴリズムが利用者がどのような投資の形を望んでいるのか(「ハイリスク・ハイリターン」を狙うのか、大きな収益は見込めない安定的な運用を目指すのか)推測し、その人に合ったアセットロケーション(資産配分)を提案するのです。
このようなロボアドバイザーを利用することの具体的なメリットはどこにあるのか、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
ロボアドバイザーを利用することのメリット
ロボアドバイザーの利用ユーザーが増えているのには、もちろんメリットがあるからです。メリットをざっくりとまとめると、次の3点です。
- 投資コストの減少
- 自分に合った投資が実現できる
- カンタン、手間がかからない、楽チン
それぞれ、簡単に補足します。
ロボアドバイザーによって投資コストを減らすことができる
ロボアドバイザーを利用することのいちばんのメリットは、投資コストの削減です。
日本で投資が進まなかった理由として、投資するためのコストが高すぎるという点がありました。投資信託を利用するには、主に次の2つの手数料がかかります。
- 販売手数料
- 信託報酬(運用管理費用)
ファンドに積極的な運用を依頼するタイプの「アクティブファンド」の場合、購入時にかかる販売手数料は3~4%、そして資産運用の代行をお願いするためにかかる信託報酬は平均1.6%です。
この高いコストのため(投資信託開始1年目の運用利回りが3%程度では、元本割れする計算です)、アクティブファンドを利用する人のほとんどは十分な収益を得られていないのが現状です。
対して、ロボアドバイザーの代表格である「Wealth Navi(ウェルスナビ)」と「THEO(テオ)」でかかるコストは年率1%程度であり、大幅に投資コストの削減を可能にしています。
投資の初心者でも「自分好み」の投資が実行できる
ロボアドバイザーのメリットの2つ目は、投資初心者の方でも自分好みの投資スタイルを選べるということです。
リスクをどれだけ取るか、そしてそのリスクに相応しい銘柄は何なのか、どのようなポートフォリオを組むのかといった判断を行うのは難しいものです。
ロボアドバイザーを使えば、いくつかの質問に回答するだけで自分のリスク許容度を測定してもらえます。
たとえば安定運用を望む方にはそれに応じたポートフォリオ(先進国の国債を多めに購入するなど)を、より多くのリスクを取って高い利回りを目指す方にはそれに応じたポートフォリオ(新興国株式を厚めに購入するなど)を提案してくれるのです。
積立を使えば、手間も時間も必要ない
ロボアドバイザーを利用するのであれば、基本的には毎月一定額を積み立てていく投資スタイルになるかと思います(筆者としても、長期投資によってリスク分散がされるため、積立式をおすすめします)。
積立額さえ決めてしまえば、あとは毎月決まった日に自動的に引き落とされ、投資に回してくれるので、手間がかかりません。
もちろん積立額の変更もできますので、まずは無理せず、毎月1万円程度の積立からはじめてみるのがよいでしょう。特にどのロボアドバイザーを利用するか決まっていない方は、実績のあるWealthNaviをおすすめします。
ここまで、ロボアドバイザーのメリットを紹介してきましたが、利用の上では注意すべき点もあります。
次に、ロボアドバイザーを使うときに押さえておきたいことを解説します。
ロボアドバイザーを使うことの注意点
ロボアドバイザー利用の注意点としては、ロボ(アルゴリズム、人工知能)をあまり過信しすぎないこと、そして投資手法に詳しければロボアドバイザーを利用しなくても、自分に合った投資スタイルを選べるということです。
ロボアドバイザーは「完璧な投資法」ではない
これはロボアドバイザーだけではなく投資全体を通していえることですが、投資である以上リスクを避けることはできません。つまり元本が割れる可能性もあります。
近年、AIが将棋や囲碁において人間を遥かに凌駕する力を獲得したことから「AIは何でもできる」「AIに任せておけばよい」といったAI全能論、もしくはそのネガとしてAI脅威論が叫ばれていますが、あまりに極端な議論です。
実際、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問の野水瑛介氏は、次のような発言をしています。
人口知能、AIなど単語が一人歩きしていますけれども、「AIだから必ず儲けてくれる」とか「AIだから絶対に損をしない」とかはありません。もちろん、運用モデルの一部に人口知能の一分野の機械学習を使っていますけれども、それはリスクコントロールのためにやっているわけです。
世界中から最も儲かりそうな、誰も知らないような素晴らしい銘柄を発掘していくために、人口知能が人間の英知を結集したり、あるいは人間を超えたようなものが運用したり、という妄想をしてしまいますが、別にそういうことをやっているわけではないのです。
出典:過剰な期待はNG!?ロボアドバイザーが受けがちな誤解
AIは全知全能の存在ではなく、あくまでも利用者に応じた、投資方法の近似解を提案するものという認識でいたほうがよいでしょう。
投資に詳しければ自分好みの資産運用が可能
ロボアドバイザーは、投資に詳しくない方でも自分に合ったポートフォリオを組む手伝いをしてくれると解説しました。
逆にいえば、投資に詳しく、自分のリスク志向を把握している方であれば、ロボアドバイザーを利用する必要はありません。
債権、先物、不動産、国内株式、新興国株式、あるいはそれらのインデックスファンドについて、それぞれのリスクを計測し、自分にとってベストの資産配分を行うことができるのであれば、ロボアドバイザーを利用するのと同様、あるいはより自分に合った資産運用を行うことができると考えられます。
ただそれを自力で行うには、深い投資知識と時間が必要です。すべて自分で行えるのならば、さらに投資コストを下げることができるとはいえ、投資歴が浅い方であれば、ロボアドバイザーに任せたほうが無難でしょう。
まとめ
この記事では、新たな資産運用方法であるロボアドバイザーについて説明してきました。メリットと注意点を踏まえると、ロボアドバイザー利用に向いているのは、次のような方だとまとめることができます。
- 投資コストを多くかけたくない
- 自分に合ったポートフォリオ、資産運用を行いたい
- 難しい投資の勉強をせずに、面倒な思いをせずに投資をしたい
以上の条件に当てはまる方なら、ロボアドバイザーは有力な資産運用方法です。一度検討してみてはいかがでしょうか。
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